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日本全国に伝わる『伝統工芸』。

昔から伝わる技術を各地を訪問して体験したいと思います。

File3

『江戸べっ甲体験①』

(荒川区・森田商店)

っ甲細工はとてもきれいですね。べっ甲細工自体は誰でも一度は聞いたことがあると思いますが、どんな作業をしている人は少ないのでは・・・。

今回はべっ甲体験をすることで、作業の内容をお伝えしたいと思います。・・・が、作業の特性(下を向いてコツコツ作業するので)写真の枚数がたいへん少ないです。

今回は江戸べっ甲の2件の体験を編集してレポートします。

体験でーたふぁいる5『江戸べっ甲』

 

鼈甲細工の歴史は大変古く正倉院宝物の中に杖や琵琶の一部分に玳瑁の甲羅が使われていることからも明らかです。江戸鼈甲が作られたのは江戸幕府が開設された頃といわれ当時は甲羅をそのまま使うなど細工も簡単でした。元禄期(1688-1704)に貼り合わせの技法が江戸に伝えられ複雑な造形ができるようになりました。

 

江戸鼈甲の材料は、数多い亀のうちでも特に甲羅の質が装身具や置物の材料として利用できる玳瑁の甲羅を使います。玳瑁は、赤道近くの海域に生息し大きいものは、50-60才で全長180センチメートル体重200キログラムにもなります。また、亀の背中の甲羅はかならず13枚で黒くなっている部分を斑(ふ)といいますが斑以外の透明な部分は約10%しかなく、特に珍重されています。

 

国際的に絶滅の恐れのある動植物の保護が叫ばれており、良質な天然鼈甲の確保が懸念されていますが、今日では、赤道近くのインドネシアやキューバでの人工増殖が行われておりその成果が期待されています。

 

製品はまず甲羅からの木地取り、製品の形と斑の位置を先に決めて、同じ物を2-3枚水と熱で張り合わせます。この時の湿し方と温度と圧力の加減で張り合わせの良否が決まるといわれ長年の年季と熟練がものをいうところです。最後にやすりと木賊(とくさ)で磨き上げていきます。

 

ネックレス、ブローチや眼鏡の枠など天然の鼈甲製装飾品には、奥行の深い光沢と肌触りがあり多くの人に愛用されています。

て、べっ甲細工の体験開始です。森田商店(・・・というより森田さんのお宅)に到着しました。作業場は道具だらけでいかにも職人さんの職場って感じです(;゚Д゚)

まずは職人さんが今回作る作品の見本③を見せてくれます。べっ甲のイメージの割には黒いけど、使うべっ甲の部位によっては色は変わるらしいです。ま、黒くてもべっ甲自体はキレイですね。

①森田商店、いかにも職人の作業場って感じです。

②作業前のべっ甲。水につけてあります。

③今回作るべっ甲細工の見本。

好きな文字を入れてくれます。

④作業場ズームUP!必要なものが所狭しと並んでいます。

 よいよ作業開始。べっ甲細工は体験する工房によって内容は様々で、こちらでは体験者が自分で材料を切り出します。

糸鋸を使って切り出しますが、甲羅自体が平面ではないので、とても難しい~(-_-;)途中で糸鋸の刃が折れました~。

 

 材料の切り出し終了。・・・が、まだまだ凸凹しているので棒やすりを使ってガリガリ削ります。結構簡単に削れんですが、削りすぎると完成品が小さくなってしまうので、少しずつ削っていきます。根気のいる作業です・・・(-"-)

⑤べっ甲(タイマイの甲羅)

分厚くていろいろ作れそうです。

⑥今回はこのべっ甲を切り出します。

 こでトラブル発生!元々甲羅というのは部位によって厚さが違ったりするので、切り取った部品も一定の厚さになるとは限りません。私の切り出した材料も場所によって薄い部分があって、こういう部分があると『最後に磨く時に、うまくいかず綺麗にできない』との事。

・・・ということで、まずは切り出した部品の厚さを一定にするために小さな部品を張り合わせます。

といっても、その部品も自分で切り出して、なおかつ張り合わせる面は凸凹があってはダメなので、とにかく平らになるまでやすりで削る作業を繰り返します。ヒ~(◎_◎;)

⑧甲羅の影響で形がいびつな材料。小さい部品を張り合わせて補修します。

⑨部品の張り合わせ作業。

万力と熱を使って部品を張り合わせます。

 うやく削り作業も終わり、部品の張り合わせ⑧⑨を行います。熱や万力などの道具を使う作業なので、こちらは職人さんがやってくれます。

部品が張り付くと再び削り作業開始。凸凹している部分を徹底的に削って平面をツルツルにしていきます。ここまでくると、べっ甲が『材料』から『作品』っぽくなってきます・・・はあ。

何回も職人さんにチェックしてもらって、ようやくOKをもらうと、最後の磨き作業~、ようやく終わりが近づいてきた・・・といいたいところですが、この磨き作業、専用の粉を使ったり、水で濡らして磨いたり、いろいろ段階があってまだまだ時間がかかります。

 

この長い磨き作業をへて、いよいよ完成。自分でできるのはここまでで、後から文字入れをしてもらい、作品が自宅に届きます。

 

【感想】

職人さんが文字通り『職人気質』の方なので、どんな部品でもちゃんとした作品に仕上げられます。

しかし、もちろん自分でやる作業なので時間がかかります。私の場合は4時間!

長い時間がかかってもちゃんとした作品を作りたい!べっ甲職人の作業や技術を味わいたい!という人向けの体験だと思います。『お気軽に・・・』と思っている人はやめましょう。

 

【体験場所】

森田商店

〒116-0012 荒川区東尾久1-16-10

03-3892-3641

⑩後日送られてきた作品。黒っぽいけどピカピカ☆

⑦切り出した材料』。これから

形を整えます。

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