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日本全国に伝わる『伝統工芸』。

昔から伝わる技術を各地を訪問して体験したいと思います。

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『江戸べっ甲体験②』

(台東区・赤塚ベッ甲製作所)

 さて、今回は江戸べっ甲体験の2回目です。前回の森田商店ではなく、台東区の赤塚べっ甲製作所にお邪魔します。

今回はどんな作業でべっ甲を仕上げるんでしょうか?ワクワク~♪

 

その前に、べっ甲の材料となる玳瑁(タイマイ)とその玳瑁が置かれている現状(ワシントン条約)のことをチェックしましょう。実はいろいろ物語があったりするのです。

体験でーたふぁいる5『タイマイ(玳瑁)』

 

タイマイは赤道近くの暖かい海に生息し、大きいものは甲羅の長さが1メートル・体重が100キロまで成長します。また背中の甲羅は必ず13枚で、黒くなっている部分とアメ色になっている部分が混在し、まだら模様(いわゆるべっ甲柄)を形成しますが、アメ色の部分が多いほど珍重され、並茨布(バラフ)、中茨布、上茨布、特上茨布と色味によって呼び名が分類されます。また、アメ色だけで形成されている製品は腹甲を使用しており、白甲と呼ばれさらに貴重なものとなります。

タイマイの甲羅は成長にともない薄い層が幾重にも重なり、甲の厚みを形成しています。<br />

これら1枚1枚の層の中には、コア(水分を通す管)があり、分厚い甲であっても共通のコアは決してありません。さらにタイマイの甲には保温力もあり、温めると自由に曲がるという特性があります。この特性はコアによることが科学的に証明されており、こうしたことからタイマイの甲(べっ甲)は、現在までのところ人工では作りえない、複雑な構造であることが証明されています。

 

タイマイの輸出入禁止
現在ワシントン条約により、1994年7月より原材料であるタイマイは輸出入禁止となっております。そのため、現在は1994年までに輸入したタイマイを業者間で売買しているのみであり、非常に希少な原料となっています。キューバなどではタンパク源としてタイマイを食べる為、その甲羅が余っているのですが、それすら買えない状況が続いています。
そのような状況の中、日本ではタイマイの養殖を沖縄で開発し始めており、将来に日差しが見えてきております。

 

 

体験でーたふぁいる6 『ワシントン条約』

 

野生動植物の国際取引が乱獲を招き、種の存続が脅かされることがないよう、取引の規制を図る条約である。輸出国と輸入国が協力し、絶滅が危ぶまれる野生動植物の国際的な取引を規制することにより、これらの動植物の保護を図る(国内での移動に関して、制限は設けていない)。絶滅のおそれのある動植物の野生種を、希少性に応じて3ランクに分類、これらを条約の附属書I、IIおよびIIIに分けてリストアップし、合計約30,000種の動物を取引制限の対象としている。

また、条約により国際取引が規制されるのは動植物種の生体だけではなく、死体や剥製、毛皮・骨・牙・角・葉・根など生体の一部、およびそれらの製品も対象となる。

条約が採択された都市の名称をとって、ワシントン条約(英:Washington Convention)、または英文表記の頭文字をとってCITES(サイテス)とも呼ばれる。

 あ、今回の体験のスタートです。今回の作業場②は職人さんの工房とはちょっと違って広いですね~。

前回と違うところはタイマイの甲羅から大雑把な材料が切り出されている③ところです。これを糸鋸を使って、さらに自分の作りたい形に切っていきます・・・。

①赤塚べっ甲製作所

②今回の作業場

 回も糸鋸を使っての作業。材料が前回より小さいのでちょっと難しいです・・・。前回糸鋸の刃を折ってしまっているので、今回は慎重に慎重~に切り出していきます・・・。

③今回の材料。これを加工していきます。

④切り出し用の台。糸鋸が使いやすいです。

⑤切り出しました♪

ばらくかかって材料の切り出し終了!

これをやすりを使って凸凹を修正していきます(今回は紙やすり)。前回と違うのは凸凹を平面にするというよりは、角を取って使いやすくする作業って感じです。

ちなみに、今回の材料は黄色い部分もたくさんあって、べっ甲のイメージに近いですね~。完成が楽しみです。

 

なみに今回の赤塚さんはお話も好きな方のようで、作業をしながら、べっ甲細工の作業の行程や、作業の趣旨、タイマイが置かれているワシントン条約の現状や、職人がどのように材料を調達してるかなど、いろいろ話してくれます。

タイマイの原材料だけでなく、べっ甲細工の完成品も輸出入できないっていうのは意外でしたね~。

しかし、こーいう話はこれはこれでまた楽しい♪

 

すり作業が終わると磨き作業。こちらの体験ではこの作業は職人さんがやってくれます。この磨き作業が終わると一気に綺麗なべっ甲になります。

そして最後に穴あけ作業。道具を使って開けますが、1発勝負だけに自分としてはこちらの方がよっぽど緊張したなあ・・・(T_T)うまくいって良かった。

最後にストラップの糸を通して完成です。今回は持ち帰りができました♪

 

 

【感想】

比較的お手軽にべっ甲細工を体験することができます。時間も短いです。

職人さんにいろいろ話も聞くことができるので江戸べっ甲のプチ学習にもなってお得です♪ただ、結構人気があるので予約は少し後になるかも・・・。

 

【体験場所】

有限会社 赤塚ベッ甲製作所

〒110-0001 台東区谷中7-6-7

03-3828-7957

 

⑥やすりで角を削っていきます。ちょっと綺麗になった♪

⑦糸を通すための穴あけ作業。結構緊張する~(-"-)

⑧タイマイの甲羅。こんな黄色い部分もあるんですね~。ちなみに黄色い部分は高級♪

⑨完成したべっ甲のストラップ。

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